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横丁

By-street

「横丁」

昭和5-8年(1930-33)

街のメインストリートから一筋奥に入った裏町の風景を描いている。石造りの道の脇には民家が立ち並び、夜になったらひっそりと暗く静まりかえるであろうこの場所を明るく照らす街灯の姿も、とても印象的に描かれている。電線も引かれているようだ。野十郎はヨーロッパ遊学中に、様々な場所に出かけてはそれを絵にしているが、よく知られた歴史的建築や名所を描こうとはしなかった。むしろ、誰もまなざしを注がない、どこにでもあるような鄙(ひな)びた田舎や農村、草原、道、裏街などを積極的に選んで描いている。うら寂しい横丁を描く本作であるが、よく見ると画面の奥に赤い服を着た女性と、黒い服を着た男性の姿が確認できる。風景の中に人物を小さく点景として添え、それにより絵に温かみが加えられているのはなんとも微笑ましい。

油彩・画布 / 45.6×54.6㎝