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水のある風景
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海や川、湖など、水のある風景はしばしば多くの画家の心を捉え、様々なかたちで絵画に描かれてきました。ここでは、10人の洋画家が描いた「水のある風景」をご紹介します。風景画を中心に、水のある風景の中に描かれた人物など、「水のある風景」が見せる様々な表情をお楽しみください。
「窓辺の風景」
庫田叕
昭和10年代(1935-1944)
油彩・画布
90.8×72.5cm
窓越しに見える風景が、透明感のある色彩によって捉えられています。四角い窓のすぐ前には白い貝のようなものが置かれ、その向こう側には、晴れ渡った空の下に広がる穏やかな海辺の風景が見えます。窓の右側から飛び出しているものは防波堤でしょうか。なにげない風景を捉えていますが、庫田叕の持ち味である独自の色彩表現とも相まって、どこか現実離れした白日夢の光景のようです。当時の洋画壇で流行していたシュールレアリスムとの接近をも感じさせる作品です。
庫田叕(くらたてつ・1907-1994)
福岡県宗像郡(現・宗像市)に生まれる。本名、倉田哲介。大正13年(1924)川端画学校に入学し、人体デッサンを学ぶ。昭和4年(1929)第16回二科展に初入選。同10年に開催した個展が高村光太郎、今泉篤夫らに評価され、美術コレクター福島繁太郎の援助を受けるきっかけとなった。高村光太郎の助言により同12年国画会同人となり、翌年佐分賞を受賞。また、同14、15年と新文展で特選を受賞し、同17年無鑑査となる。戦後しばらくの間健康を害し、制作を中断。同31年以降は世界各地に取材した日本的情調の作品を多く描いた。透明感のある豊かな色彩が特徴的。同47年から3年間は東京芸術大学に奉職した。