輝く色彩

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絵画作品において、色彩は極めて重要な役割を持ち、用いられる色によって作品へもたらす雰囲気や印象が大きく変わります。ここでは絵画作品における色彩に注目し、華やかな雰囲気を持つ、色彩豊かな作品をご紹介します。

「赤い屋根」

児島善三郎

大正14年~昭和3年(1925~28)

油彩・画布

52.5×64.5cm

児島善三郎は大正14年(1925)から4年間にわたって、念願のフランス留学を果たし、パリを拠点に様々な場所を旅していました。本作は、留学を終える頃に滞在した南フランスの風景を描いたもので、石造りの赤い屋根の家々が丘に沿って立体的に建ち並ぶ様子が、やや単純化して捉えられています。パリにはない明るくさわやかな色彩世界に目を遊ばせ、心躍らせながら絵筆をとる児島の姿が垣間見えてくるような作品です。

児島善三郎(こじまぜんざぶろう・1893-1962)

福岡市に生まれる。県立中学修猷館卒業後上京し一時、本郷洋画研究所で研鑽を積む。大正10年(1921)二科展に初入選し、翌年二科賞を受賞。同14年渡仏し、昭和3年(1928)に帰国。翌年二科会会員となるが、同5 年同会を脱退。同志らと独立美術協会を設立し、以後同会の代表作家として活躍する。西洋の模倣ではない日本人の油絵を目指し、南画や琳派の作風を取り込んだ装飾性の高い独自の絵画を確立した。
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