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近代日本画名品10選
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福岡県立美術館の所蔵作品の中から、福岡県ゆかりの作家による珠玉の日本画をご紹介いたします。
「山水図」
吉嗣拝山
明治37年(1904)
紙本墨画淡彩・六曲一双屏風
各173.6×460.0cm
大画面を使い山水を豪快に描いた本作は、左右が絶妙な対称を見せています。右隻は、筆を細やかに使って岩肌や樹木を描き、秋らしく淡い彩色を施し、一方左隻は、水気を多く含んだ筆で、墨の濃淡で山々の湿潤な空気感を見事に表現しています。大きな画面を描く力もさることながら、中国美術の先人たちに学ぶ画技の豊かさにも驚かされます。本作は、拝山の最も脂の乗った時期の作品と言えるでしょう。
吉嗣拝山(よしつぐはいざん・1846-1915)
本名達太郎。御笠郡太宰府村(現・太宰府市)に南画家吉嗣楳僊(梅仙)の子として生まれる。日田の広瀬青邨に漢学を習い、中西耕石について南画を学ぶ。維新後、倉敷県令となるが、明治4年台風による災害で右手を切断し、これを機に画道に専念する。同10年には中国に渡り南画の研鑽を積む。地方の名家として名をなした。