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水のある風景
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海や川、湖など、水のある風景はしばしば多くの画家の心を捉え、様々なかたちで絵画に描かれてきました。ここでは、10人の洋画家が描いた「水のある風景」をご紹介します。風景画を中心に、水のある風景の中に描かれた人物など、「水のある風景」が見せる様々な表情をお楽しみください。
「瀬戸内海」
満谷国四郎
明治44年頃(c.1911)
油彩・画布
45.4×60.2cm
本作は満谷国四郎が、石川寅次郎、大下藤次郎、吉田博、中川八郎、小杉未醒ら太平洋画会の仲間たち10人と連れ立って、明治44年(1911)に瀬戸内海の小豆島へ写生旅行に出かけた折に描いたものです。小豆島の南西に位置する双子浦から見える海と入江の織りなす景観が、精緻な筆触によりに描写され、また、その向こうにゆったりと浮かぶ幾艘もの船が、瀬戸内らしい穏やかな雰囲気を醸し出しています。このとき、満谷とともに写生旅行に出かけた10人の画家たちが描いたスケッチや油彩画などは、同年、小杉により『十人写生旅行』という本にまとめられました。
満谷国四郎(みつたにくにしろう・1874-1936)
岡山県吉備郡に生まれる。五姓田芳柳、小山正太郎に学び、明治美術会に出品した。明治33年(1900)から翌年にかけてアメリカ経由でフランスに渡り、ジャンポール・ローランスに師事。同35年同志と太平洋画会を結成し、同40年第1回文展以来審査員、のち帝展審査員、大正14年(1923)に帝国美術院会員となる。この間再びヨーロッパに赴き、再度中国に遊んだ。後年は平明な装飾的画風を樹立した。