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水のある風景
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海や川、湖など、水のある風景はしばしば多くの画家の心を捉え、様々なかたちで絵画に描かれてきました。ここでは、10人の洋画家が描いた「水のある風景」をご紹介します。風景画を中心に、水のある風景の中に描かれた人物など、「水のある風景」が見せる様々な表情をお楽しみください。
「緑陰高良川女人群」
松田諦晶
昭和5年(1930)
油彩・画布
73.0×90.5cm
樹々の間から太陽のやさしい陽差しの差し込む水辺で、水浴びをする母と子の姿が描かれています。水浴する女性という主題は、フランスの印象派の画家たちや、ポスト印象派の画家であるポール・セザンヌらによりしばしば描かれていますが、松田諦晶は自らの故郷である久留米に流れる高良川を舞台としながら、そのおなじみの主題を換骨奪胎し、新味を加えた独自の絵画にしました。輪郭線をあえて引かず、明るい色彩からなる色面のみで画面が構成されています。
松田諦晶(まつだていしょう・1886-1961)
福岡県久留米市に生まれる。久留米高等小学校で図画教師森三美の教えを受ける。明治33年(1900)久留米商業学校に入学、学業の傍ら盛んに絵を描く。同43年太平洋画会展に初入選。この頃から古賀春江に絵を手解きする。大正3年(1914)の第1回二科展から連続入選を果たすが、同11年古賀のデビュ-と入れ替わりに中央画壇から遠のく。その後は大正2年に郷里で結成した来目洋画会の中心メンバ-として後進の育成に努め、昭和6年(1931)には久留米洋画研究所を開設する。同23年から久留米商業高校の美術教師に就任、同36年には久留米市文化功労賞を授与される。