花やぐ美術館

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美しい自然、とくに花や草木は、洋画日本画、具象抽象を問わず、絵画の主題として描かれてきました。福岡県立美術館の所蔵作品から、季節と観るものの心を彩る華やかな自然を作品をご紹介いたします。

「菊図」

浦志武火子

制作年不詳

紙本着色・六曲一隻屏風

103.0×254.4cm

赤・白・黄色の菊が、文字通り大輪の花を咲かせています。菊の花盛りは秋、9月には菊の節句もあります。同じ大きさの菊花が並び、垣も描かれ、一見すると琳派風の装飾的な図柄のようにも見えますが、葉の色を三段階の濃度の異なる緑で描き奥行を示したり、花の裏側の萼(がく)や地面の小さな菊の若葉を描いたり、茎が左右に振れていたりと、画家の写生によると思われる変化がつけられています。自然のわずかな変化に敏感な作家だったのでしょう。

浦志武火子(うらしたけひこ・1891-1965)

福岡県糸島郡怡土村に生まれる。本名武雄。県立中学修猷館を経て、東京美術学校日本画科を卒業。大正11年(1922)黒田長政公三百年祭記念美術展に入選、昭和11年(1936)博多築港博に出品するなどの事跡が知られる。また同17年頃から36年頃まで筑紫女学園高校で客員講師を務める。晩年には白内障を病んだ。
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