描かれた女性たち

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絵画制作のモデルとして、女性はしばしば絵画に描かれてきました。それは専属のモデルであったり、家族や親しい友人であったり、はたまた見知らぬ誰か、ということもあるでしょう。ここでは、福岡県立美術館の所蔵作品の中から、女性たちが登場する作品をご紹介いたします。

「焚き火」

浦志武火子

制作年不詳

絹本着色・二曲一隻屏風

186.0×208.6cm

焚き火を囲む二人の女性。裸足に草鞋、手には小手、頭には手ぬぐいを巻く様子から、作業中の休憩であると思われます。手指はほんのりと赤くなっており、寒さでかじかんだ手が焚き火でじんわりと温まる様子が伝わってきます。二人が着ているのはおそらく絣。それぞれ井桁に矢絣、縞に丸と、さまざまな絣の柄が表現されています。作者は、糸島に生まれ筑紫女学園高校で客員講師を務めた浦志武火子、描かれた絣は久留米絣かもしれません。

浦志武火子(うらしたけひこ・1891-1965)

糸島郡怡土村に生まれる。本名武雄。県立中学修猷館を経て、東京美術学校日本画科を卒業。大正11年(1922)黒田長政公三百年祭記念美術展に入選、昭和11年(1936)博多築港博に出品するなどの事跡が知られる。また同17年頃から36年頃まで筑紫女学園高校で客員講師を務める。
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