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近代洋画名品10選
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福岡県立美術館のコレクションの核である近代洋画(油彩画・水彩画)の中から、10人の作家による名品10点を選りすぐってご紹介します。近代洋画には、九州ゆかりの作家が非常に多いことが知られていますが、ここで紹介する作家10人も全員が九州の出身です。九州の地ではぐくまれた豊かな近代洋画の広がりを感じてください。
「静物」
児島善三郎
昭和24年(1949)、第17回独立展
油彩・画布
61.0×73.0㎝
リンゴやブドウや洋ナシ、そしてポットや鍋やお皿が、画面の中でリズミカルに配置されています。朱色を多用し、背景には勢いのよい筆さばきで描かれた模様を配するなど、にぎやかで派手な作品でありながらも、作家の優れた色彩感覚によって、瀟洒な雰囲気が醸し出されています。立体的なものと平面的なものを同じ絵画空間の中で同居させ、「安定しないところの美しさ」を目指すという困難な課題に取り組んだ児島善三郎。本作は彼の戦後の方向性を示す記念碑的作品です。
児島善三郎(こじまぜんざぶろう・1893-1962)
福岡市に生まれる。県立中学修猷館卒業後上京し一時、本郷洋画研究所で研鑽を積む。大正10年(1921)二科展に初入選し、翌年二科賞を受賞。同14年渡仏し、昭和3年(1928)に帰国。翌年二科会会員となるが、同5年同会を脱退。同志らと独立美術協会を設立し、以後同会の代表作家として活躍する。西洋の模倣ではない日本人の油絵を目指し、南画や琳派の作風を取り込んだ装飾性の高い独自の絵画を確立した。