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輝く色彩
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絵画作品において、色彩は極めて重要な役割を持ち、用いられる色によって作品へもたらす雰囲気や印象が大きく変わります。ここでは絵画作品における色彩に注目し、華やかな雰囲気を持つ、色彩豊かな作品をご紹介します。
「蓮池荷風」
藤田吉香
昭和49年(1974)
油彩・画布
162.2×391.5cm
横幅約4mの巨大な画面に描かれた群生する蓮の花が、圧倒的な存在感をもって迫ってきます。満開の花のみならず、まさに今にも開こうとして赤らんでいる蕾や、終わりを迎えようとする花など、花の一生の様々な段階が描かれています。画面の下半分に蓮の花を配し、背景には澄み渡ったロイヤルブルーを単色で塗るというシンプルな画面構成であることが、絵に力強さや生命感を与えているようです。群を抜く描写力に支えられた静謐さと清澄な色彩が醸し出す「静」と、そこに吹くさわやかな風を感じさせるような「動」が、画面の中で絶妙に調和した作品です。
藤田吉香(ふじたよしか・1929-1999)
福岡県久留米市に生まれる。県立中学明善校を経て、昭和30年(1955)東京芸術大学を卒業。同34年国展で国画賞を受賞する。同37年から41年までスペインに留学し、この間ボッシュなどの古典絵画を模写。同42年国画会会員に推挙される。同45年第13回安井賞を受賞、同56年第1回宮本三郎賞を受賞。金、銀などの単色の背景に花や人物などのモチーフを浮き立たせた画面は、初期ルネサンス絵画にも通じる静謐な情感をたたえている。