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近代日本画名品10選
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福岡県立美術館の所蔵作品の中から、福岡県ゆかりの作家による珠玉の日本画をご紹介いたします。
「大宮人」
邨田丹陵
明治40年(1907)
絹本着色・軸装
171.6×83.6cm
野を歩く高貴な人物が、ふと振り返る。何か後方から音がしたのか、それとも思うところがあったのでしょうか。少し寂しそうにも見えます。大宮人とは、宮中に使える人のこと。衣服の作りや、繊細で優美な文様に、この人物の位の高さがうかがえます。丹陵は、大和絵を得意とした川辺御楯の一番弟子でした。この大宮人の姿と、大和絵が評価されなくなった時代の変化に36歳で画壇を離れ、以後孤高の画業を歩んだ丹陵の姿とが、どことなく重なります。
邨田丹陵(むらたたんりょう・1872-1940)
故実家の村田直景の子として東京に生まれる。明治16年(1893)から川辺御楯に師事し、丹陵の号を与えられる。同24年から30年にかけて、日本美術協会展において受賞を重ねる一方、同24年寺崎広業や小堀鞆音らと日本青年絵画協会を結成、同29年頃まで連続して高位受賞を重ねた。内国勧業博覧会、パリ万博、東京勧業博などでも受賞を重ねるが、同40年第1回文展への出品を最後に、画壇との交渉を絶つ。