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花やぐ美術館
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美しい自然、とくに花や草木は、洋画日本画、具象抽象を問わず、絵画の主題として描かれてきました。福岡県立美術館の所蔵作品から、季節と観るものの心を彩る華やかな自然を作品をご紹介いたします。
「端山の秋」
阿部春峰
大正10年(1921)、第3回帝展
紙本着色・二曲一隻屏風
215.6×170.5cm
手前の紅葉した赤と、ススキの白、そして少しずつ黄色味を帯びてきた樹木の緑が鮮やかに映えます。中央には、画面に収まらないほど高くそびえる樹木と、その背後に生い茂るススキの原、そして手前にはこれから来る冬に備えて餌をついばむ野鳥。盛りの秋も、少しずつ冬の気配を感じさせます。同時に、大きな画面を隈なく描き切る巧みな構成は、画面の上から下まで、私たちの視線を動かします。第3回帝展に出品された、春峰44歳、熟練の画技が光る作品です。
阿部春峰(あべしゅんぽう・1877-1956)
福岡県鞍手郡に生まれる。明治26年(1893)頃大阪に上り、四条派系の深田直城に師事する。同30年京都の菊池芳文に入門。同40年文展に入選。同41、42年と連続受賞し、官展における中堅作家として重きをなす。昭和15年(1940)福岡県八幡市に移住し県美術協会で活躍するが、同28年再び京都に上り同地で死去。後年は琳派に心を寄せた絢爛な作品を制作した。