近代洋画名品10選

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福岡県立美術館のコレクションの核である近代洋画(油彩画・水彩画)の中から、10人の作家による名品10点を選りすぐってご紹介します。近代洋画には、九州ゆかりの作家が非常に多いことが知られていますが、ここで紹介する作家10人も全員が九州の出身です。九州の地ではぐくまれた豊かな近代洋画の広がりを感じてください。

「婦人像」

岡田三郎助

明治42年(1909)、第12回白馬会展

油彩・画布

40.8×52.9cm

青葉から差し込む明るい光を背に、どことなく物憂げな表情をした女性が頬杖をついて物思いにふけっています。色白の肌、ぱっちりとした二重瞼の眼、整った鼻筋、小さく結ばれた口元。彼女はいわゆる「美人」の典型として描かれているのです。日本の近代洋画に大きな影響を与えたフランス人画家であるラファエル・コランの最も忠実な弟子といわれた岡田三郎助は、コラン流の優美で典雅な婦人像を得意とし、「婦人像の岡田」とも呼ばれていました。印象派風の軽やかで生き生きとした筆触と色彩とで描かれた背景の自然や着物、そして紫色に白を塗り重ねた女性のやわらかな肌合いなど、甘美さと叙情性が同居する画面は、繊細な色彩によって包み込まれています。

岡田三郎助(おかださぶろうすけ・1869-1939)

佐賀県に生まれる。幼時に上京、旧鍋島藩主邸で百武兼行の油絵に接し、洋画を志す。初め曾山幸彦に学んだが、明治27年(1884)黒田清輝、久米桂一郎が指導する天真道場に入門。同29年白馬会創設に参加。アカデミックな画風から印象派の傾向へと転換し、翌年渡仏してラファエル・コランに師事する。帰国後、東京美術学校教授となる。同45年本郷洋画研究所を藤島武二とともに創設し、後進の指導に尽力した。温雅な作風の婦人像に定評があったとともに、美術工芸の発展にも貢献した。
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